一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「あ、こら! やめて乱れる!」

「乱れた髪もまた可愛いから」

そんなことを言いながらふざけ合っていた時だった。

いきなり肩に腕を回され、誰かに強引に抱き寄せられたのは。


「馴れ馴れしく触らないで。ミャーは僕のだから」

目をパチクリさせる亜優に向かって放たれたのは、聞き覚えのある声。

すぐに顔を上げると私の肩を抱いていたのは南さんだった。


「え、南さん? どうしてここに……?」

十九時の便だって言っていたよね?

突然現れた彼に私も亜優も驚きすぎて声が出ない。

すると南さんは私の肩を抱く力を強めた。


「ミャーどういうこと? 僕がいない間に浮気?」

そして疑いめいた目で見下ろしてきた彼にハッとし、慌てて口を開いた。


「浮気って……! そんなわけないじゃないですか! それに失礼ですよ、女の子の亜優に向かって!!」

「え……女の子?」

ポカンとし彼は視線を亜優へと向けた。そんな南さんに亜優は苦笑いしちゃっている。
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