一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「っもー、びっくりさせないでよ」

「わり、別に驚かせるつもりはなかったんだけど。……俺、普通に入ってきたし」

首の後ろを押さえながら謝る海斗。

「つーかなんでトイプードル? 美弥、犬でも飼いたいわけ?」

けれどすぐに最もな質問をされ、慌てて画面をデスクトップに戻した。


「ううん、違うの。ただちょっとその……そう! 可愛い犬の写真を見て癒されたいなって思って見ていただけ」


早口でまくし立てると、海斗は「ふ~ん……」と言いながら、腑に落ちないと言いたそうな顔をしている。


「俺はてっきり、自分がトイプードルに似ているって、みんなに言われているの気にして見ていたと思ったんだけど」

うっ……! さすがは海斗。鋭い。


けれど海斗はもちろん、会社のみんなにはお見合いしたことは内緒にしてある。

そんなお見合い相手からも、トイプードルに似ているって言われて気にして見ていたなんて、さすがの海斗も想像できないんだろうな。

考えてしまっていると、海斗は顔をしかめ、いきなり私の鼻を摘んできた。

「なんだよ、その顔は」
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