一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「そうだったんですね、それはそれはお疲れ様でした!」

どこまでもオーバーなお父さんに、南さんは困ったように微笑んだ。

「いいえ、仕事ですから」

そう言うと彼はふわりと笑い、私を見つめていた。

「でも仕事中、ずっとミャーのことが頭から離れてくれなくて、ちょっと大変でした」

「……えっ」

予想外なセリフに胸が高鳴ってしまった。

いや、だってそんなこと言われたら誰だってドキドキしちゃうじゃない。

気恥ずかしくなってしまい、彼の視線から逃れるように、目の前にある湯呑を見つめてしまう。

するとお父さんが困惑した様子で、南さんに問い掛けた。

「えっと……あれ? 美弥のことはお気に召さなかったのではないのですか?」

最もな質問にすぐに彼は否定するように首を横に振った。


「とんでもないです! むしろお会いしてお話をさせていただき、ますますミャーと結婚したい気持ちは強くなりました」

……えぇっ!? なっ、なにそれっ!

予想外の展開に声も出ない。
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