一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
私から事情をすべて聞いていたお父さんもまた信じられないと言いたそうに、しどろもどりになりながらも尋ねると、彼はクスリと笑った。


「失礼なんかじゃありませんよ。最もなことを言ってくださり、とても感動しました」

「はい?」


これにはさすがに声を上げてしまうと、すかさず隣に座っていたお父さんが、慌てた様子で「バカッ!」と突っ込みを入れてきた。


けれど「はい?」と聞き返したくもなる。

だって私、ただ彼を罵っただけで感動させるようなことなんて、なにも言っていないのだから。

すると彼はますます笑みを零し、口元を手で覆いながら話しを続けた。


「お恥ずかしい話なのですが、幼い頃からなにかと甘やかされて育てられてきまして。……ミャーのように叱ってくれる存在はいませんでした。なのでとても新鮮で嬉しくなってしまって」


そう言うと彼は真っ直ぐ私を見据えてきたものだから、肩がすくんでしまった。

「ミャー、あの日は正面切って言ってくれてありがとう」

「……えっと」

これは一体どう返せばいいのだろうか。

返事に困っていると、再び真剣な面持ちを見せお父さんを見据えた。
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