一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「社長も安心でしょ？　海斗が美弥ちゃんと結婚して跡取りになってくれたら」

「そうだよなぁ、俺たちも安心だ」

とんだ大誤算な話をして盛り上がるみんな。いつもだったら社長であるお父さんも、みんなと一緒になって大盛り上がりするところなのに、なぜか今日は浮かない表情。

「どうしたんだろう、お父さん」

不思議に思い、ポツリと漏らしてしまうと気づいた海斗も呟いた。

「本当だ、いつもだったら社長も一緒になって喜ぶところだよな」

「うん」

些細な変化にお互い気づき、首を傾げてしまう。

「まぁ、社長のことだから、また美弥に内緒でやった競馬で負けたりしたんじゃないか？」

冗談めいて言う海斗だけれど、非常に現実的過ぎて、もし本当なら笑えない。

「えぇー、勘弁してほしい。こっちは生活費切り詰めてやっているっていうのに」

「社長、好きだもんな競馬」


そうなのだ、お父さんは大の競馬好き。もちろんお小遣いの範囲で遊ぶ程度だけど、たまにお小遣いの前借りをすることがあるほど、のめり込んでしまうときもある。