一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
咄嗟に鼻と口を両手で覆ってしまった。
するとお父さんは諭すように優しい声色で話し出した。
「この前は住む世界が違う男はダメとか、美弥にはもっといい男がいるって言ったけど、実際にまだ颯馬さんとは会ったばかりだし、どうだ? 少し相手のことを知ってから今後のことを考えるのは」
「……えっ」
「大切な取引先……ってこともあるが、もしかしたら美弥も颯馬さんのことを好きになるかもしれないだろ? そうなれば会社は安泰。娘は日本一の幸せ者になれるんだ。万々歳じゃないか」
「万々歳って……」
お父さんってば随分と簡単に言ってくれる。
けれど私、南さんのことなにも知らないんだよね。それは南さんも同じで、彼は私のことをなにも知らないはず。
それなのに結婚を切り出す彼の神経をちょっと疑っちゃうけど。
でも一緒に過ごす時間を過ごせば、私がどんな人間で自分と合うかどうかとかも知ってもらえるはず。
そうなればきっと向こうからこの話はなかったことに……って断りを入れてくるかもしれない。
するとお父さんは諭すように優しい声色で話し出した。
「この前は住む世界が違う男はダメとか、美弥にはもっといい男がいるって言ったけど、実際にまだ颯馬さんとは会ったばかりだし、どうだ? 少し相手のことを知ってから今後のことを考えるのは」
「……えっ」
「大切な取引先……ってこともあるが、もしかしたら美弥も颯馬さんのことを好きになるかもしれないだろ? そうなれば会社は安泰。娘は日本一の幸せ者になれるんだ。万々歳じゃないか」
「万々歳って……」
お父さんってば随分と簡単に言ってくれる。
けれど私、南さんのことなにも知らないんだよね。それは南さんも同じで、彼は私のことをなにも知らないはず。
それなのに結婚を切り出す彼の神経をちょっと疑っちゃうけど。
でも一緒に過ごす時間を過ごせば、私がどんな人間で自分と合うかどうかとかも知ってもらえるはず。
そうなればきっと向こうからこの話はなかったことに……って断りを入れてくるかもしれない。