一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「いいじゃん、競馬くらい。破産するほどつぎ込んでいるわけじゃないんだからさ。大目にみてやれよ」


「それはそうだけどさ。面白さがわからない私にしてみれば、勿体なくてさ。競馬に使うくらいなら、美味しいものを食べたいって思っちゃうじゃない?」

すると海斗は「美弥らしいな」なんて言いながら笑われちゃったけど、こっちは笑えない。

正直製作所の経営がギリギリ黒字程度。なるべく貯金に回して備えておきたいところ。

でも日々お父さんが頑張っているのは誰よりも一番近くで見ている。海斗の言う通り大目にみるべきなのかも。

そんなことを考えている間に休憩時間は終わり、みんな仕事に戻っていった後、私も片づけを済ませ、自分の仕事に取り掛かった。


仕事を終えると、次は家の家事が待っている。

母親は私が十歳のときに病気で他界。以来、家のことはほとんど私がやっている。

製作所の敷地内にある3DKの一軒家が私とお父さんの自宅だ。
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