一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
この日も帰宅後すぐ洗濯物を取りこみ、お風呂を洗って食事に準備に取り掛かる。

その間、お父さんが帰宅し先にお風呂に入ってもらっている間に夕食の準備を終え、いつものようにふたり、食卓で手を合わせた。


「いただきます」

今日の夕食は作り置きしておいた餃子で作ったスープと、麻婆豆腐ときゅうりの浅漬け。日々節約メニューだ。


居間のテレビから流れてくるお笑いコンビの漫才を見て笑いながら、餃子スープの出来に満足していると、なぜかお父さんは箸を置き、神妙な面持ちで口を開いた。

「なぁ、美弥……ちょっといいか?」

「えー、なに急に。今、面白いところだから後でもいいかな?」

好きなコンビが出ているところで、正直お父さんの話を聞く余裕はない。するとお父さんは溜息を漏らした後、「じゃあ食事後に」と言い、また黙々と食べ始めた。


なんてことのないいつもの日常。

どうせお父さんの話も大したことないんだと思い、食事を済ませた後、片づけをし、お茶を淹れて居間に戻ると、お父さんはテレビを消した。
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