一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「美弥、さっきの話だが……」

「あぁ、うん。なに？」

きっと競馬に負けちゃったから、お小遣い前借りさせてくれとかかな？


そんなことを考えながら、ふたり分のお茶が入った湯呑をそれぞれのテーブルの前に置くと、お父さんは落ち着かせるように淹れたてのお茶をズズッと啜った。

「美弥……正直に答えてくれないか？」

「なによ、急に」

てっきりお小遣いの前借りだと思っていた私は、目をパチクリさせてしまう。

お父さんは一体なにを知りたいというのだろうか。

変に緊張してしまう私に、お父さんは覚悟を決め、聞いてきた。

「お前はその……いつも言っているように、本当に海斗くんとは付き合っていないのか？」

「…………は？」

まさかここで海斗とのことを聞かれるとは夢にも思わなかったから、随分と間抜けな声が出てしまった。

「だから海斗くんとは、本当に付き合っていないのかと聞いているんだ」

「付き合っていないのかって……」

突然神妙な面持ちでなにを言い出すかと思ったら。呆れて深い溜息が漏れてしまった。
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