一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
でも彼の中で不動のナンバーワンはだし巻きたまごのようだ。
「そうでしょう? このだし巻きたまごはですね、亡くなった家内の得意料理のひとつでして。……亡くなる前、美弥に伝授してくれたですよ」
得意気に話すお父さんに呆れ果ててしまう。
最初はあんなに南さんに対してカッチコチだったくせに、免疫がついたのか、今ではすっかり打ち解けてしまっている。
私も自分で作っただし巻きたまごを頬張る。……うん、今日もしっかりお母さんと同じ味に仕上げることができたかな。
このだし巻きたまごは、唯一お母さんに教えてもらった料理だった。
私とお母さんの思い出の一品。
もちろん私が生まれる前からずっと食べてきたお父さんにとっても――。
得意気に話したお父さんとは対照的に、なぜか南さんの表情は雲っていく。
「そうだったんですか。……水谷さんの奥さんはとても料理上手なお方だったんですね」
だし巻きたまごをジッと見つめながら話す彼に、私とお父さんの箸は止まってしまった。
「そうですね、料理が上手な奴でした。……颯馬さんとも是非お会いしてほしかったです」
「そうでしょう? このだし巻きたまごはですね、亡くなった家内の得意料理のひとつでして。……亡くなる前、美弥に伝授してくれたですよ」
得意気に話すお父さんに呆れ果ててしまう。
最初はあんなに南さんに対してカッチコチだったくせに、免疫がついたのか、今ではすっかり打ち解けてしまっている。
私も自分で作っただし巻きたまごを頬張る。……うん、今日もしっかりお母さんと同じ味に仕上げることができたかな。
このだし巻きたまごは、唯一お母さんに教えてもらった料理だった。
私とお母さんの思い出の一品。
もちろん私が生まれる前からずっと食べてきたお父さんにとっても――。
得意気に話したお父さんとは対照的に、なぜか南さんの表情は雲っていく。
「そうだったんですか。……水谷さんの奥さんはとても料理上手なお方だったんですね」
だし巻きたまごをジッと見つめながら話す彼に、私とお父さんの箸は止まってしまった。
「そうですね、料理が上手な奴でした。……颯馬さんとも是非お会いしてほしかったです」