理想の人は明日から……
 薄っすら目を開けると、点滴の管が見えた。

 病院に居るようだ……


「目が覚めたか?」

 声の主は部長だ……


「はい……」


 部長がナースコールを押した。


 医師と看護師が部屋に入って来たのが分かった。


「目が覚めたようですね? どこか痛い所はありますか?」

 ドクターの優しい声に首を横に振った。


「検査もしましたが、怪我は無いようです。でも、疲れましたよね…… 一晩入院しましょうか」


「お願いします」

 私の代わりに、部長が答えた。


 私は、握っていてくれていた部長の手を自分の頬まで持ってくると、もう一度眠りについた。


 部長の手が、優しく頭を撫でていてくれた……


「もう、大丈夫……」


 部長の優しい声が遠くで聞こえる。



「部長も、お休み下さい……」


 篠田さんの声が聞こえた気がする……


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