理想の人は明日から……
 カーテンの隙間から、明るい光りが差し込んでいる。

 目を開けると、だいぶ頭はすっきりしているようだ…… 


 私の頬には部長の手があり、部長はベットに伏せて寝ていた。


「部長……」

 私は部長の肩を揺すった。


「う…ん」


 部長は目を開けると、私の頬を優しく撫でた……


『トントン』病室のドアを叩く音がした。


「はい」


 ドアを開けて入って来たのは、刑事さんらしい二人の男で、その後ろに、あの時の妊婦さんと、支えているのは旦那さんのようだ……



「気分はいかがですか?」
 鬼のような顔の警官が優しく笑って言った。


「ええ。だいぶすっきりしました」


「本当に、大変な事に巻き込まれてしまって。でも、無事で良かったです。詳しいお話を伺いたいのですが、その前に、こちらの方が……」


 警官が手を差し伸べた、妊婦の彼女が涙目で私を見ていた。


「本当にありがとうございました。あなたが居なかったら、この子も私もどうなっていたか…… 」


「本当に、二人を守って下さり、ありがとうございました」

 旦那さんも頭を下げた。


「いいえ、咄嗟の事で私もどうしていいか分からなくて…… でも、無事で良かった」


 私はそっと、彼女のお腹に手を掛けた。


「あっ、動いた!」

 私も彼女も目を合わせ笑った。


「この子、女の子なんです『楓』って名前頂いていいかしら?」


「ええ―」


「きっと、正義感の強い子になれると思うから……」


「正義感の強いのも大変ですけど……」


 部長がため息を着き、皆が笑った。

 
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