理想の人は明日から……
彼は、大阪支社より異動してきたばかりの、企画部に所属する岸田優斗(きしだまさと)さん二十八歳らしい。
今日は岸田さんの歓迎会も兼ねていたのだ。
岸田さんは皆にお酌してまわり、私の席にもやってきた。
「企画部の方ですか?」
岸田さんが、ニコッっとほほ笑み、お酌のビール瓶を指し出しながら聞いて来た。
「いいえ、営業部の南です」
「営業部の方ですか。岸田です。色々とお世話になりますがよろしくお願いします」
岸田さんは、背筋をすっと伸ばし、終始笑顔で私の横に座り他愛もない話を始めた。
私も楽しくなってしまい、話に盛り上がり出したのだが……
斜め向かいに座る、姿勢を崩し今にも女子社員に寄り掛かってしまいそうな顔はチャラ部長だ。
目障りだ!
しかし、部長は立ち上がると、私と岸田さんの間に割り込んできた。
私の気持ちは一気にテンションダウンした。
「おう、岸田飲んでいるか? お前の歓迎会だからしっかり飲めよ! もしかして、南にもう怒られていたのか? 可哀そうに……」
部長はワザとらしく眉間に皺を寄せた。
「私は、誰にでも怒る訳じゃありませんから! 部長がチャラチャラしているから怒りたくなるだけです!」
私はいつものように、キツイ口調が出てしまった。
「えっ」
岸田さんは少し驚いたような顔をしたが、又すぐに笑顔に戻った。
「部長と、南さんは仲が良いんですね!」
「全然! 腹立って仕方ないだけです!」
「俺、仮にも部長なんだけど……」
部長はニコニコしながら嬉しそうに言っている。
「知りませんよ! 部長、あちらで皆さんお待ちですよ」
私は、さっき部長が座っていた、まわりの女子社員達の方に目をやった。
早く部長が離れてくれないと、岸田さんに私の部長への態度がバレてしまう。
怖い女と思われたくない……
「ええ―。この席、面白そうだからここでいいよ。南、俺にもビール頂戴」
私は、仕方なくグラスにビールを注いだ。
今日は岸田さんの歓迎会も兼ねていたのだ。
岸田さんは皆にお酌してまわり、私の席にもやってきた。
「企画部の方ですか?」
岸田さんが、ニコッっとほほ笑み、お酌のビール瓶を指し出しながら聞いて来た。
「いいえ、営業部の南です」
「営業部の方ですか。岸田です。色々とお世話になりますがよろしくお願いします」
岸田さんは、背筋をすっと伸ばし、終始笑顔で私の横に座り他愛もない話を始めた。
私も楽しくなってしまい、話に盛り上がり出したのだが……
斜め向かいに座る、姿勢を崩し今にも女子社員に寄り掛かってしまいそうな顔はチャラ部長だ。
目障りだ!
しかし、部長は立ち上がると、私と岸田さんの間に割り込んできた。
私の気持ちは一気にテンションダウンした。
「おう、岸田飲んでいるか? お前の歓迎会だからしっかり飲めよ! もしかして、南にもう怒られていたのか? 可哀そうに……」
部長はワザとらしく眉間に皺を寄せた。
「私は、誰にでも怒る訳じゃありませんから! 部長がチャラチャラしているから怒りたくなるだけです!」
私はいつものように、キツイ口調が出てしまった。
「えっ」
岸田さんは少し驚いたような顔をしたが、又すぐに笑顔に戻った。
「部長と、南さんは仲が良いんですね!」
「全然! 腹立って仕方ないだけです!」
「俺、仮にも部長なんだけど……」
部長はニコニコしながら嬉しそうに言っている。
「知りませんよ! 部長、あちらで皆さんお待ちですよ」
私は、さっき部長が座っていた、まわりの女子社員達の方に目をやった。
早く部長が離れてくれないと、岸田さんに私の部長への態度がバレてしまう。
怖い女と思われたくない……
「ええ―。この席、面白そうだからここでいいよ。南、俺にもビール頂戴」
私は、仕方なくグラスにビールを注いだ。