俺様社長に飼われてます。
Prologue 寂しがり屋の独り言
「お前はこれから俺の人形だ」
何でもないことのように、日常会話をするようなフラットなトーンで男は言った。
内容はとんでもなくぶっ飛んでいるものだというのに、不思議と私の頭の中は冷静だった。
正常な思考はもうとっくに壊れてしまっていたのか、むしろ「これで良かった」とさえ思ってしまう。
籠の鳥になって、何処にも行けなくても。
この人が私を大切にして愛してくれるならそれもまた良いことなのかもしれない。
「私、もう前みたいな生活には戻れないの?」
瞬きをして、私のまつ毛で弾かれた水滴が男の手の甲に落ちる。
彼はそれに口づけて――笑った。
「家族ごっこなんかしなくても、俺がお前を満たしてやる」
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