俺様社長に飼われてます。
だだっ広いホテルのスイートルームのような部屋だった。
部屋の広さのわりにはソファと、ガラス製のテーブルと規則正しく書物が並べられた大きな本棚しかない。
それから、今私が寝かされていた人が5人も悠に寝てしまえるほどに大きなベッドしかない。
家具は全てモノトーンでまとめられて、家主がいかに目に騒がしいものを好まない人なのかわかる。
ベッドに視線を落とせば、ミネラルウォーターのペットボトルが手元に転がってきていた。未開封のそれを手に取って、キャップを開ける。
濁りもなく透明なそれを一応匂いも確認して、大丈夫そうだと判断して一口飲んだ。
身体の奥まで染み渡るような、待ち望んだ水分――私は次の瞬間にはそれを一気にあおった。
「……好きに使っていい、って言ったって」
ガンガンと脈打つこめかみを押さえて、私はもう一度部屋を見回す。
ここはどこで、あの人は誰だ?
あの男達から助けてくれたということはわかるけど、彼が私に危害を加えない人物だと確定したわけではない。
下手に行動して逆鱗に触れるなどはごめんだ。彼が帰ってくるまで、待とう。
吸い込まれるように私はもう一度枕に顔を埋める。疲れ果てた身体と脳はすぐに睡眠を欲して、シャットダウンされた。