俺様社長に飼われてます。
Chapter7 すれ違いってこういうことですか。
朝起きて、赤羽さんが出勤するついでに会社まで車で送ってもらうことになった。というか方向が全く同じだからついでも何もないんだけど。
昨日赤羽さんに洗濯をしてもらった自分の服を身にまとって、社長室の前に立つ。
ドアノブに手を伸ばして――昨日の綺麗な女の人を思い出して、手が止まる。
今日もいるのかな。本当に彼女だったらどうしよう。
色んな考えを巡らせていると、ひとりでにドアノブが回って私は思わず手を伸ばした状態のまま固まった。
「……あ……」
いつも涼し気な無表情が、今は驚いたような色に染まっている。
「……高山さん」
小さく名前を呼んで、そのままどうしたらいいかわからずにうつむくと扉の閉まる静かな音と、私の横を通る微かな空気の動きを感じた。
恐る恐る振り向くと、いつものスーツ姿の高山さんが隣にある給湯室に入っていくのが見えた。
無視されたのかと思って若干凹みながら、社長室の扉を開ける。中を開けると、テーブルの上に散らかった書類や筆記用具の山。
ゆっくりと見回すと、昨日のあの女の人はどこにもいない。高山さんはずっと一人で仕事をしていたんだろうか。