俺様社長に飼われてます。



一般家庭の夕飯の時間よりも少し遅い時間。珍しく早く帰宅した高山さんと向かい合って夕食を取っているが、会話なんてないし目も合うこともない。

テレビもないので無言のまま、時計の針が時を刻む小さな音と、時々食器のぶつかる小さな音が鳴るだけの空間に息苦しささえ感じていた。


「そういえば」


そろそろ何が言わないと私の心が耐えられない、と思ったちょうどその時、長い沈黙を打ち破ったのは意外にも高山さんの方だった。


「書類、助かった」


短く言って、高山さんは箸を置いた。

丁寧に、上品な仕草で手を合わせて食事を終えた挨拶をする。


「あ……いえ。はい」


私は上手い言葉を返すこともできず、しどろもどろになってそう答える。

ふと、顔を上げて高山さんの方を見れば、あまり食事に手をつけていないことに気が付いた。


「……高山さん、具合、悪いですか?」

「……いいや。そういうわけではない」


そう言って緩く首を横に振った彼の顔色はあまり良いものではなかった。


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