俺様社長に飼われてます。


「……お父さん、亡くなったって……」


触れてはいけないかと思いつつも聞きたくなってしまうのが人の常。

おずおずと口に出した私の言葉に、高山さんは困ったように眉根を寄せた。


「あまり、他人の事に首を突っ込むな」


ピシャリと拒絶の言葉で跳ね返されて、私はビクリと肩を跳ねさせた。

語気の強さのわりには元気のない表情で、高山さんはふらりと立ち上がった。


「……悪い。少し頭を冷やしてくる」


そう言っていつも通り食器をキッチンの方へと運び、リビングと廊下を繋ぐ扉の近くに掛けてあるコート掛けにかけていたカーディガンを手にして部屋を出ていく様子を、私はぼんやりと眺めていた。


"他人"。


高山さんに言われた一言が胸に鋭く突き刺さって、動くことも声を発することもできない。


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