俺様社長に飼われてます。


「……?」


長方形の箱。いつしか高山さんからもらったメイク道具の入ったものと似ているけど、全然違うロゴが掘られているのが分かった。

目をこすって、クリアな視界で確認するとそれはプレゼント用に加工されたもののようだった。


ブランドのロゴらしきマークが記されたタグをひっくり返せば、癖のある字で「未央へ」と書かれていた。

社長室で仕事中、何度も見たその字に私はまた泣き出してしまった。


「……行かなきゃ」


立ち上がった足は気を抜いたらすぐに尻餅をついてしまいそうなほどにふわふわしている。

けれど、今ここで彼を追いかけないときっと一生後悔するだろう。



"未央へ 誕生日おめでとう"



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