俺様社長に飼われてます。
「先に風呂に入ってくるといい」
男の声に被るように、きゅるる、と間抜けな音が響いて私はとっさに自分のお腹を押さえた。
「……お腹がすいて、力が入りません」
恐る恐る顔を上げてそう言うと、男はゴミを見るような目で――本人からしてみればそんなつもりはないのかもしれないが――私を見下ろしていた。
私がビクビクと身体をすくませて男の反応を待っていると、男は白い頬にまつ毛の影を落としてやれやれと首を横に振った。
「え!な、なに」
両脇に大きな手が差し込まれる。
そのまま動物のように私をぶらりと抱えた男は大股で部屋の扉に向かう。
「ど、どこに連れて行くんですか」
「自分で風呂も入れないんだろう。俺が入れてやる」
そう言って連れて行かれた先は普通のワンルームくらいありそうなほどの広さの脱衣場。
私が愕然としていると、服をまくり上げて横腹にひんやりとした指が触れて悲鳴に近い声を上げた。