俺様社長に飼われてます。
このまま自分の人生は終わるものだとばかり思っていた。
誰にも理解されず誰も理解するつもりもなく。
それならそれでいいと思って過ごし、時は流れて中学時代。突然俺を引き取りたいと言い出した夫妻がいた。
なるべくして一緒になったとでも言うように、似た者同士の穏やかで優しい夫婦だった。
俺を引き取るための面談の際、結婚してから子供を望まないまま過ごし、年老いて子供を望めなくなってから子供が欲しくなったと語った。
下手をしたら自分の祖父と言っても誰も疑わないほどに齢のいったその男――高山虎太郎は、まるで本当の子のように優しく俺の頭を撫でた。
人と関わることもなく触れることも触れられることもなかった俺は初めての感覚に嫌悪感と、そして少しの心地良さを覚えたことは今でもハッキリ記憶に残っている。
男は俺に言った。
「いずれは君に私の会社を継いで欲しい」と。
それが俺の――"高山宗介"として生きることになる切っ掛けだった。