俺様社長に飼われてます。
初めこそ何を言われているのかわからなかったし、彼の素性すら知らない俺は首を傾げた。だが時が経つにつれてその時の言葉の意味を理解した。
高校生になる頃には義父の書斎に入り浸り経営学や帝王学の本を読みふけることが多くなった。
まだ実感なんて無かったが、何故だか今の自分はそうしなくてはいけないと思っていたから。
そうして義父に通うように言われた四年制の大学を無事に卒業し、義父が経営しているという会社に次期社長候補として入社した。
もちろん社長に就任するまで努力をしなかったわけじゃない。
跡継ぎとなる身内がいなかった高山虎太郎は、他にもたくさんの社長候補として社員を会社に据え置いていたのだ。
彼は俺の父親としてではなく、社長として確かに言った。「選ばれる人間になれ」と。
社長候補の中に、コミュニケーションを取ることを得意とする人間はたくさんいた。むしろトップになるのであれば人との関わりが必要不可欠。
誰がどう見ても性格に難がありコミュニケーションが得意ではない俺が社長に就任した時は、ストライキをする部署まで出たほどだった。