俺様社長に飼われてます。


人に拒絶されることも否定されることも幼少期の経験から慣れきっていた俺はそんな反発も何処吹く風といった風に、やるべき事をやり続けた。

どんなに努力をしたって人の心を動かすことは容易ではない。時には不可能なことだってある。そんなことに時間を費やすくらいなら淡々と仕事をこなせばいいと。


これといった反応を示さない俺に、次第に社員達も上げていた声を小さくしていった。

俺が何か言わなくても、前社長を盲信し俺を気に食わないという社員は次々と辞めていったのだ。


そんな中でも俺のことを「真面目」だとか「仕事が出来る」と評価し着いてきてくれる人間もいた。そうして時間を掛けて着実に、自分の居場所を作ったのだ。


数ある施設の余るほどにいる子供達の中から俺を選んで後継者にした高山虎太郎。


彼が何を考え何を見ているのかはついにわからないまま終わってしまったが、彼はとても聡明で人を見る目のある人だった。

俺なら出来ると見込んでくれたのだと思いたい。あるいは立場が俺をそうさせてくれたのか。


今となっては些細なことだけれど。


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