俺様社長に飼われてます。
「ところでお前、何か俺に言うことがあるんじゃないか」
「へ?」
「赤羽のこととか」
無事に仲直りでハッピーエンド。
なんてことはなく、高山さんの言葉に双方のわだかまりとなっている問題を思い出した。
「あ、あれは……違うんです……」
「違う?」
気まずさから高山さんから少し視線を外して、ぽつりぽつりと語り始める。
言葉は濁したけど高山さんと美女のキスシーンに動揺して逃げ出したら帰り道がわからなくなり赤羽さんに助けてもらったと。
「……ああ、あの女。以前俺の秘書だった」
どこか遠い目をした高山さんの表情はとてつもなく不快そうなそれだった。
「能力を見込んで秘書にしたんだが、男女関係を迫られた上真面目に仕事をしなくなったから解任したんだ。そうしたらあの日、自分を秘書に戻せと抗議してきてな」
「わ、わあ……」
要約すると、あの人は恋人でもなくただの部下だったらしい。
それからキスしてるように見えたのは私の角度からだけで、実際には抗議のために彼女が高山さんに接近していただけ。高山さんは嘘をつける人ではないから、全て本当のことなんだろう。
あっけらかんと暴かれた真実に、私は拍子抜けというように肩の力を抜いた。