俺様社長に飼われてます。


「じゃあ、撮影は明日の昼過ぎからね。遅れないように頼むよ」


打ち合わせ(という名の一方的な必要事項の確認)が終えて、アゴヒゲを生やしたプロデューサーや今回の撮影に携わるスタッフ達が足早に会議室を後にして、私と柳谷さんだけが残された。


「未央ちゃん、本当に大丈夫?嫌なら断っても良かったのよ」


心配そうに柳谷さんが私の顔を覗き込んでくるから、思わず息に詰まる。

女性みたいな口調や仕草から普段はあまり意識してないけど、この人は黙っていたら見目麗しい青年なのだ。


「……相手のモデルさん、柳谷さんとかにチェンジしてもらえませんかね」

「何言ってるの。あたしはモデルじゃないわよ」

「だって、男の人に触れたり触れられたりするんでしょ……?」


私はわりと本気で言ったのだけど、冗談だと受け取ったらしい柳谷さんは口元に手を当ててくすくすと笑った。


「ふふ、そーちゃんに男慣れさせてもらいなさい」

「えっ?」


さらりと言った言葉に私は思わずこぼれ落ちそうなくらい目を見開いた。

柳谷さんは変わらずニコニコしている。





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