俺様社長に飼われてます。
ただならぬ様子の私に眉間のシワを深くした高山さんはとりあえず落ち着こう、と提案してリビングのソファに私を下ろして、その隣に自分も座った。
「何があった?」
差し出されたハンカチを受け取って、私は顔を覆うようにして涙を拭った。
今日の撮影でダメ出しばかりされたことを話すと、高山さんは複雑そうな表情をしてアゴに手を当てた。
「私……大人の恋が知りたい」
「身体を重ねることだけが大人の恋ではないと思うが」
私の言葉を間髪入れずに否定した高山さんにムッとして顔を上げようとすると、後頭部を大きな手のひらで包まれたかと思うとその胸の中に引き寄せられた。
「……これで、大人の恋がわかるんですか?」
「さあな」
この人は仕事以外のことになると適当なところがある。
本当ならここで文句の一つでも言ってやりたいけど……泣いて体力を消耗したせいもあってか、やけに高山さんの腕の中が心地よく感じてしまう。