俺様社長に飼われてます。
「人の数だけ価値観があるんだ。答えのないことを追い求めようとしても失うものはあっても得られるものはないぞ」
「じゃあ……私、どうしたらいいんですか……」
私がまた泣きそうになったのを声音で察したのか、高山さんは私の頭を抱き込むように撫でた。
「お前がどうするべきかは俺にはわからんが、俺は悩んだ時は何処かで折り合いをつけるようにしている」
「折り合い?」
「答えがないなら自分で信じるものを決めたらいい」
それに、と言って拘束される力が緩んで、頬を両手で包み込まれる。
「お前は自分で思ってるよりずっと魅力的だ」
そう言って、私の濡れた目尻に口付けた。
きっと、私が今求められている答えは弾き出せていないけど。
好きな人に触れられることは幸せで心地良い。それだけわかれば今の私には十分だ。