俺様社長に飼われてます。


「高山さん、どうしてここに?」

「ああ、柳谷から連絡があってな」


私が最終調整になっても撮影に行き詰まっていると聞いて仕事を切り上げて寄ってくれたのだとか。


「もー!そーちゃんならやっぱり来てくれるって思ってた!」


そんなやりとりをしていると、タイミング良く話題に上がっていた人物が嬉々としてこちらに駆け寄ってきた。


「柳谷さん、ありがとうございました!高山さんに連絡してくれたって……!」


私が慌てて頭を下げると、頭上からえっ?と間の抜けた声が降ってくる。


「連絡?アタシは何もしてないわよ?そーちゃんが勝手に……あっ」


え、と小さく漏らして顔を上げるとしまったという顔で口元を抑える柳谷さんと目元に影を落として邪悪に微笑む高山さんがいて、私は全てを察した。


「高山さん、ありがとうございます」


柳谷さんに掴みかろうとする高山さんに向かってそう言うと、高山さんはバツの悪そうな顔をして「ああ」と返事をしたのだった。


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