俺様社長に飼われてます。
「ところで、俺以外の男に触れられて楽しかったか?」
二人で帰宅して、いつも通り夕飯を食べ終わって私はソファに座り雑誌を読み、高山さんは温かいお茶を飲みながら不躾にそんなことを言ってきた。
思わず口をへの字にして雑誌から顔を上げると、ソファを挟んだ向かいにあるテーブルにいる高山さんが拗ねた子供のような表情をしていて、私は口をへの字から一の字に結んだ。
「な、何ですか……?」
恐る恐るそう聞くと、高山さんは冷たい目でじとりと私を睨み付けてお茶の入った湯のみに口を付けた。
「大人の恋がどうとか言うから何だと思ってたら……男と絡みのある撮影をしていたなんて俺は聞いていない」
そりゃあ言ってませんからね。
そう言いかけて、私は思わずにやける口元を雑誌で隠した。
「もしかして高山さん、ヤキモチ?」
言い終わるのと同時にゴトン、と音がした。高山さんの手元に視線を向けると湯のみがテーブルの上で横たわっていた。
湯のみを置こうとして動揺して倒してしまったらしい。