俺様社長に飼われてます。
Chapter10 俺様社長と✕✕します。


真っ暗な闇に沈んでいた意識が電子音で引き戻される。唸り声を上げて、眉根をひそめて身をよじる。音は鳴り止まない。


「……うるさ」


私の呟きに反応したのかはわからないが、先ほどまで私がもたれかかっていた体温が、ゴソゴソと衣擦れの音と共に消えた。


「何だ」


寝起きで掠れた低い声が聞こえて、私は重たい瞼を擦って目を開けると上半身裸の高山さんが眠そうにスマートフォンを耳に当てているところだった。


『そーちゃん大変よ!今すぐ会社に来て!』


スピーカーから響く慌てたような叫び声に高山さんは舌打ちをしてスマートフォンをベッドに放り投げた。

声からして柳谷さんだろう。


「朝から騒がしい奴だな……」


そう言いながら高山さんは床に脱ぎ捨てていた衣服を拾い上げる。

どうしたんだろうと心配になって私が身体を起こすと、高山さんは私の頭をひと撫でしてキンキンと騒がしいスマートフォンを再び手に取った。


「俺は今日オフだったはずだが」

『緊急事態なの!私服でもいいからさっさと来て!』


乗り気じゃない高山さんに痺れを切らしたのか語気を強めて柳谷さんが言う。高山さんはため息をついて、わかったと返事をして電話を切った。


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