俺様社長に飼われてます。
「隠すことで未央に何か害がでるようならきちんと発表するさ。そうじゃないならわざわざ言うことはない」
「高山さん……」
今回の結婚発表も何もかも、高山さんや会社を守るためという名目で私のことも守るためなんだと聞かなくたってわかる。
まだまだ一緒にいる時間は柳谷さんに比べて短いけれど、高山さんはそういう人だって十分知っている。
言葉は少ないし肝心なことはいつも言ってくれない、不器用な人だけど――私にとって、世界一優しい人。
「そういえば未央ちゃん、モデル活動はどうするの?うちのお抱えとはいえ……結婚するとなると今までみたいにはいかないでしょ?」
「ああ、そういえばそうだな。未央、続けたいか?」
隣に座る高山さんが私の顔を覗き込んでくる。
じっと目を見てくるあたり、たぶん首を振ってほしいんだろう。最初なんて一刀両断されたし。
「俺の役に立ちたいといって始めたことなんだ。やめてもいいと思うが」
短い間だったけど存外楽しかったモデル活動。
続けたい気持ちと現実的な問題と、高山さんの気持ちも尊重したいと思って返答に困っているとそんな言葉をかけられた。やっぱり未だ高山さんは私がモデルをやることを快く思っていない。
「もう家族になるんだからそんなことしなくていい」
「……それは、ずるいです」
そんなことを言われたら、今の私にモデルを続けるそれらしい理由がなくなる。
残念な気持ちもあるけどそれよりも高山さんの子供みたいな独占欲が嬉しくて、どうでもよくなってしまう。