俺様社長に飼われてます。
「昔、美容師を目指していたこともあった」
「なるほど」
ジャンプーの際、素早く強引なのに全く痛みを感じなかったのはそれか。
妙に納得していると男の手がタオルを取るためか、ぬるりと私の素肌に触れた。
「ん……」
思わずぴく、と身体が跳ねる。
しまったと思った時には空気が凍り付いていて、目の前の男は無表情で私から手を離した。
「……お前」
少しだけ怒りの滲む声に私は自分の顔を手で覆った。とんでもない大失態。
「容器を見れば馬鹿でもわかるだろう。好きに使え。俺は晩飯の用意をしてくる」
そう言いながら、男はそっけなく泡立てネットを私に向かって投げつけて浴室を出ていった。