俺様社長に飼われてます。
Chapter1 見知らぬ男に買われました。
私の父親は中小企業の社長だった。
不況に世界情勢の乱れが重なりに重なり、金融機関でさえ倒産するこのご時世。
なんのブランドも持たない小さなその会社は世の中の流れに抵抗する間もなくあっさりと潰れてしまった。
残されたのは、病弱な母と膨大な借金。
父は――蝋人形のようになって、私達の元に帰ってきた。
「ごめんね、未央」
そう言って力なく笑った母親に返す言葉も見つからなかった。
「離して」
黒い服を着たガタイのいい男達が私の腕や肩を掴む。
母は怯えているのか、ぎゅっと固く目を閉じて祈るように指を組んでうつむいていた。