俺様社長に飼われてます。


「今日はたぶん帰りが早い。大人しく待っていろ」

「そんな私がいつも暴れてるみたいな……」

「昨日皿を割ったのは誰だ?」

「……ワカリマシター」


ムッと唇を尖らせて反論しようとするも、それはものの0.1秒でバッサリと切られた。

昨日の夜、食器洗いをしていて皿を割ったタイミングで高山さんが帰ってきた。


割れた皿を前に呆然と立ち尽くす私を見て鼻で笑われたことはまだ鮮明に覚えている。

完全に「こいつアホだな」みたいなことを思われたんだろう。


「ん」


昨日のことを思い出してもやもやしていると、突然頭が温かくて大きいものに包まれて顔を上げる。

どうやら高山さんが私の頭を撫でていたらしく、私が顔を上げたことによって彼の大きな手が私のおでこにぴたりとくっつく。


「……子どもじゃ、ないんですけど」


照れ隠しにそう言えば、高山さんは少しだけ口角を釣り上げて笑ったようだった。


「行ってくる」


触れていた手が離れて、高山さんが私に背中を向ける。


赤くなった顔を見られなくて、良かった。



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