俺様社長に飼われてます。
「ああ、やはりまだ商品化には至らないな。この程度のキスで落ちるとは」
そう言って、何でもないように顎に手を当てて考え込む動作をする高山さんに私は絶句した。
「キッ……」
キス、された。初めてだったのに。
しかも、この程度って。
ほとんど無意識だった。
キスの衝撃から私が自我を取り戻した時には高山さんの整った顔面にふかふかの枕がくい込んでいた。
それをした犯人は、私の手。
「いきなり何するんですか!変態!ロリコン!おたんこなす!」
思いつく限りの罵声を浴びせるけど、どれも高山さんはひらりと軽くかわしてしまう。
それからベッドサイドに置いてあった手帳型のメモ帳とそれに挟めてあった万年筆で何かを書き留めているようだった。
もはや私の言葉なんて聞こえていない。子猫がじゃれてきているくらいにしか思っていないだろう。