俺様社長に飼われてます。
「そういえば、先日秘書に空きが出た。お前、手伝うつもりはないか?」
「秘書?誰の?」
本当に今思い出したように高山さんは私を見下ろしてそう言う。
私が素っ頓狂な声で返して顔を上げると高山さんは私の座る椅子の真隣にある椅子を引いてそこに腰を下ろした。
「俺の。社長秘書……まあそんなかしこまったものじゃないが」
社長秘書。
ああいうのって普通は何かしらの資格がいるものではないのか、と首を傾げるものの隣の男はそれに気付かずのんびりとコーヒーを啜っている。
「私にもできる仕事ですか?」
「ああ。茶を入れたり書類整理をしたり社長室を掃除したり、それくらいでいい」
ただの雑用じゃないか、という言葉は飲み込んで私は小さく頷いた。
どうせ一日中やることがなくて暇だし。
「わかりました。役に立てるかはわかりませんが、お手伝いさせてください」
「ああ」
私がそう言うと、高山さんは満足げに小さく微笑んだ。