俺様社長に飼われてます。
「とりあえず、この書類にこの判を押していってくれ。見本はこれだ」
高山さんはそう言いながら私の目の前にドンッと凄まじい音と風を巻き起こしながら紙の束を置いた。
感情の読めない涼しい顔は相変わらず。
私は上から下まで、軽く数千枚はありそうな書類の山を見てそっと目を逸らした。
高山さんが統括しているというその会社は彼の自宅のすぐ隣にある高層マンションにあった。
何かあった時に駆け付けやすいようにとのことだが、とんだ社畜魂だ。社長にもなると仕方ないことかもしれないけれど。
社長室にと宛てがわれたその部屋――正しくはフロアも、彼の自宅と同じくマンションの最上階に配置されていた。
最上階に行くには厳重なセキュリティをくぐり抜けなくてはならず、一階の正面玄関から入って右の最奥に隔離されるように小部屋があり、そこをパスコードで入室するとガラス張りのエレベーターがある。