俺様社長に飼われてます。


「……今は俺が保護者だから」


たっぷり間を開けたあと、一応言葉を選んだようで濁った返答をする高山さん。

そんな彼の一瞬の動揺を見逃さなかった柳谷さんはニコニコと人好きする笑顔で私の方に歩みを進めた。


「保護者だって言うなら、自分の子には色んな経験させてあげなくちゃ!」

「え、あの……」

「いきなりモデルをやれなんて言わないから、お化粧だけでもさせてくれないかしら?アナタとーっても化粧映えしそうなお顔だし、インスピレーションが湧きそう!」


後ろから優しく肩を掴まれて取ろうとしていたインクのケースを取り落としてしまった。


「最近新作の開発も上手くいってないみたいだし――」

「柳谷。」


空気を切り裂くような、感情のない鋭く冷たい声。

私の肩に触れる柳谷さんの手がピクリと震えたのがわかった。


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