俺様社長に飼われてます。
走行中自動でロックがかかるタイプではなくて良かった。それだと運転席で操作しないと開かないから。
頭の中で冷静にあれこれ考えながら、車内から転がるようにして外に逃げた。
全身に浴びた太陽の光で目が眩んでよく辺りを見ることができない。
背後からけたたましいブレーキ音が響いて、自分の身に危険が迫っていることを感じて本能的に私は自分の身体を抱き込んで、目を閉じた。
もう死んだっていい。
このままどこか知らない場所に連れて行かれるくらいなら、その方がずっと幸せだ。
「そこの君!」
しわがれた男の人の怒号が響いて、腕を掴まれた。
「いきなり車から飛び出してきて何をしているんだ!危うく轢くところだったんだぞ!」
光に目が慣れて、少しずつ視界がクリアになっていく。