俺様社長に飼われてます。


「柳谷さんは素敵な人ですよ」


ぽつり、と思ったままに口にすると、柳谷さんの手の中からボキリ。と鈍い音がした。


「……あらやだ」


無意識の内に握り締めてへし折ってしまったらしい自分の手の中にあるブラシを眺めて、柳谷さんは呆然とそう呟いた。

それから、折れたブラシをヘアピンやヘアゴムなど色々な小物が入っているトレーに置いて、ため息をついた。


「そんなこと言われたの初めてだわ」

「そうなんですか?」


強烈な個性を持つ柳谷さんは、今まであまり人にありのままを受け入れられた経験がないのだろうか。

動揺を隠せないようで、それをごまかすように笑っていた。


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