俺様社長に飼われてます。
Chapter5 何を考えているのか分かりません。
自宅(正確に言えば高山さんの家に居候させてもらっているだけだが)に戻ると、家中の電気が消えていた。
靴を脱いで玄関を抜け、リビングの電気をつけると人の気配はない。
いつも通り、質素で必要最低限の物が置かれた広いリビングだった。
柱に掛けてあるアンティーク調の時計を見ると、時刻は23時を回っていた。
いくら遅くても高山さんは20時には仕事を切り上げて帰ってくるのに、今日は長引いているのだろうか。
なんてことをぼんやりと考えてソファに腰を下ろすと、背後から扉の開く音が聞こえた。
反射的に振り向くと、ジャケットだけ脱いだ状態でスーツのままでいる高山さんがいた。ワイシャツに少しシワが寄っている。
「……ああ、帰ってきたのか」
「高山さん」
いつもは私が彼の帰りを待つ立場だから、こんな時なんて言ったらいいのかわからなずに戸惑っていると、高山さんは眠たそうに前髪をくしゃくしゃとかき回す。