俺様社長に飼われてます。


「どうしてこんなことになっている」


今にも崩れ落ちそうになる私をがっしりした腕で支えて、男は酷く冷静に、淡々とそう聞き返してきた。

けれど私はその問いかけに答えられるだけの情報を持っていない。

私がゆるく首を横に振ると、緊迫したような声が降りかかる。


「触らないでいただきたい。それはうちの商品だ」


自宅で連れて行かれる際に聞いたのと同じ声。

思わず私は身を固くして、私を支える腕の中に隠れるように頭を寄せた。


「商品、とは?」

「詳しくは答えられない」


そのやりとりで全てを察したらしいスーツの男は、私を男達から守るようにして抱き寄せた。


「なるほどな」


心地よい低音が身体を振動させる。
気付いたら私は泣いていた。

スーツの男は懐から紙切れを取り出して、そこにサラサラと何かを書いて私を連れ去ろうとしていた男の一人に手渡したようだった。


「これで足りるか?」

「いっ……!?」


紙切れを受け取った男はひっくり返りそうな勢いで声を上げて、それに続いて車から降りてきた男達も驚愕の声を上げていた。


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