俺様社長に飼われてます。
「……高山さんっ!!」
思い切り頭を後ろに振った。
ゴンッ、と鈍い衝撃が走って呻き声が聞こえたのと同時に、首に回された腕が離れていく。
妙な雰囲気からようやく解放されて、肩で息をしながら振り向くと少しだけ不機嫌になった高山さんが自分の頭を押さえていた。
「……風呂に入ってくる」
そう言いながら大股でリビングから出ていった男の背中を視線で見送って、扉の閉まる音を聞いたのと同時に私はソファの上で膝を抱えてうずくまった。
「……なんなの……」
首筋に残る熱と、鼻腔に残る高山さんの微かな男物の香水の匂いを振り払うようにして自分の膝に顔をうずめる。
扉を隔てて微かに聞こえてくるシャワーの音が静かな部屋の中で嫌に響き渡った。