俺様社長に飼われてます。
「記念パーティー?」
柳谷さんに首根っこを掴まれて引きずられた先はいつものメイク室――ではなく、衣装部屋だった。
テレビの中でしか見たことがない、ウォークインクローゼット。
父が順調に会社を経営していた時の家でさえこんなに立派なクローゼットなんてなかった。
たくさんのドレスを引っ張り出して私に合わせては、これじゃない、あれじゃないと柳谷さんは悩ましく唸り声を上げている。
「そうよ〜。この間未央ちゃんが広告のモデルをした新作のファンデーションの売り上げがすっごく良くてね!今夜19時からその記念のパーティーがあるのよ。そーちゃんから聞いてない?」
「いえ。全く……。今日は帰宅が遅いということしか伝えられてないです」
感情があまり表に出ない人だから、隠し事が非常に上手い。今朝の高山さんの様子を思い出して苦笑いをした。