俺様社長に飼われてます。
「まあ、色んな人が来るから。社交的な場所にあまり未央ちゃんを連れて行きたくないんでしょうねぇ」
秘書としての仕事を終えて先に帰ろうと会社内をうろうろしてるところを偶然柳谷さんに捕まり、現在ここにいる。
柳谷さんに遭遇してなければ何も知らないまま過ごしていたのかと思うと少しだけムッとしてしまう。私が関わっている商品でもあるのに、あんまりだ。
「高山さん、何考えてるんでしょう……?」
私が小さくそう言うと、柳谷さんは困ったように頬に手を当てて首を傾げた。
「それは、本人に聞いてみるといいわ」
「聞いたところで答えてくれますか?」
「それは……そうねぇ」
あまり語りたくないことは露骨に黙り込んだり濁したりするあの唐変木な男のことを思い出して、私はため息をついた。
柳谷さんも苦笑いをして、「決めた!」とたくさんの服の山から引っ張り出したドレスを私に押し付けてきた。