俺様社長に飼われてます。
「まあ、ご飯は美味しいですけど。篠原さんも何かいただいたらいいと思いますよ」
彼は皿に取り分けたお肉やパスタ、サラダなどをマイペースに食べてどうにか自分なりにこのパーティーを楽しんでいるようだった。
美味しそうな料理を前に心持ち腹の虫が鳴りそうになるけど、ぎゅうぎゅうに腹部を締め付けるコルセットのお陰ですっかり食欲は減退していた。
「失礼致します。お飲み物はいかがですか」
それでも何か口にしたいな、と思っているところに燕尾服を纏った給仕の男の人が飲み物の入ったグラスを差し出してきた。
薄黄色で、シュワシュワと緩く炭酸が液体の中で揺れているのがわかる。
「ありがとうございます」
その一つを受け取って、近くで観察してみる。
香りは果物……ブドウみたい。
こんなジュース見たことない、と好奇心で1口グラスに口を付けると、口の中に広がる果実の香りと苦味に思わず吹き出しそうになった。
「うえ」
目を細めてグラスを睨み付ける。
受け取ってしまった手前残すことはできないが、こんなものいちいち小分けに飲んでたら本当に体調が悪くなりそう。
そう思って、グラスにしっかり口をつけて一気に傾ける――そこで赤羽さんが私の方を向いて、あれ?と首を傾げていた。