俺様社長に飼われてます。
「これの家族の借金は7千万だ。こんなに受け取れない」
「そうか。なら残りはその家族にでも配当してくれ」
男はそう言いながら私を担ぎ上げた。
急に脳みそを揺らされたことで視界がグラグラと揺れて目を回す。
「黒田」
「はっ!」
黒田、と呼ばれた初老の男性はピシッと敬礼して次の言葉を待っているようだった。
私を担ぐ男は車に向かう足を止めないまま、淡々と黒田さんに投げかけた。
「社長は急用が出来たと役員に伝えてくれ。会議はまた後日行う」
「承知致しました」
光を反射する黒塗りの車のドアが開けられて、後部座席に放り込まれる。
先ほどの脳みそをミックスされた衝撃が治まらないままのそれ――ついに視界が真っ暗闇に包まれたのだった。