俺様社長に飼われてます。
「篠原さん、それお酒」
赤羽さんの言葉にまた液体を吹き出しそうになるのを堪えて留めると、反射でそのまま全て飲み込んでしまった。
「……飲んじゃった……」
空になったグラスを呆然と見下ろしいると、赤羽さんが困ったように透明な液体が入ったグラスを差し出してきた。
「まあ、お酒って知らなかったんで。ノーカンですノーカン。たぶん法律には触れないでしょう……たぶん」
知らずにお酒を飲んでしまったことにショックを受けて、差し出されたグラスをビクビクと見つめる。
「これは……?」
「ああ、これはただの水です。安心してください、まだ口付けてないんでどうぞ」
そう言われてほっと安堵のため息をついてグラスを受け取る。
「何か食べた方がいいですよ。空腹にアルコールって身体に良くないんで」
赤羽さんに差し出された、新しく料理を取り分けられたお皿とフォークを受け取る。
おずおずとフォークを手に取って薄っぺらいお肉に突き立てて、食べようと口に運びかけて――強烈な胃の痛みに眉を顰めることになった。