俺様社長に飼われてます。


「篠原さん?」


手にしていたお皿をテーブルに戻して、鳩尾あたりを手でさする。

さすがに無気力マイペースな赤羽さんも私の体調の変化には気付いたらしく、戸惑ったような顔をしていた。


「胃が……痛い……」


熱く焼けるような胃の感覚と、ふわふわし始める視界に泣きそうになりながらもどうにか足に力を入れて崩れ落ちないように踏ん張る。

……が、ピンヒールで踏ん張れるはずもなく私の身体は傾いていく。


「――未央。」


鼓膜を揺らす低い声と、露出した肩が温かな感触に包まれて私は驚いて瞬きをした。


「お前、どうしてここにいる。いや……それよりも、どうしたんだ」


どうやら後ろから誰かに私は支えられているらしい。確認するまでもなく、赤羽さんが目を見開いて「あ、高山社長」と呟いた。


「……お酒、間違って飲んじゃって」


私が掠れた声でそう言うと、高山さんは不自然なまでに押し黙って、何かを考えているようだった。

それから、肩を掴まれて後ろ――高山さんの方を向かされる。


普段は下ろされた前髪は後ろに上げられていて、妙な色気があって直視できずに私は目を逸らした。

高山さんはそんな私にお構い無しで、私のおでこに手を当てた。


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