俺様社長に飼われてます。
「胸元の空いたドレスまで着て、大人の真似事か。ガキのくせに」
高山さんの男の人にしては細く、女の人のようだと形容するにはがっしりした指が私の鎖骨を撫で上げる。
「……が、ガキじゃ……ないもん……。もうすぐ、大人になるもん」
数週間後に控えた自分の誕生日に思いを馳せてそう言ったつもりが、高山さんは別の解釈をしたらしくおかしそうに吹き出した。
その笑い声は好意的な感情によるものではないくらい、バカな私にもわかった。
高山さんが冷めた目で私を見つめるから。
「……へえ。誰に大人にしてもらうつもりなんだ?」
ドレスの胸元をつまみ上げて、先ほどよりあらわになった胸元に、高山さんは唇を寄せた。
「い、痛い……な、なに……?」
チクリと刺されるような痛みが走って、困惑していると高山さんが私の胸元から顔上げた。
薄い血色の良い艶やかな唇の隙間から血のように真っ赤な舌が覗いて、どことなく怪しげな雰囲気を醸し出している。
色男は身を乗り出して、困惑する私の顔の横に手をついて――耳元に唇を寄せた。